高校物理 理解の手助け

高校物理についての内容です。なるべく丁寧に、理解できるように書いていこうと思います。

4-2.対数関数

対数関数の基礎的な内容となるので、予習復習したい方向けです。
対数関数のことを分かっているよという方は、読み飛ばして頂いてかまいません。

 

 


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こちらでも解説しているのでよろしくお願いします。


高校物理/炉けーのブログ

 

4-2.対数関数

 

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目次

 

 

1.対数について

指数関数\(y=a^x\)を考えると、どんな正の数\(M\)に対しても\(M=a^p\)となる実数\(p\)がただ一つに定まります。
この\(p\)を\(\log_a{M}\)で表し、これを\(a\)を底とする\(M\)の対数といいます。
また、\(\log_a{M}\)における正の数\(M\)をこの対数の真数といいます。
(※\(10\)を底とする対数を常用対数という)

 

(指数関数についてはこちらも参考にしてください→指数関数)



以上から、指数と対数の関係は次のようになります。


\(a\gt0\) , \(a\neq0\)で、\(M\gt0\)のとき、

\(M=a^p \Leftrightarrow p=\log_a{M}\)

 

 

以下に例を載せておきます。

例1)

\(8=2^3\)を[指数=○]の形(対数表示)で表すと、

\(3=\log_2{8}\)

となる。

 

例2)

\(\log_3{27}=x\)を考えてみる。
上記式を[真数=○]の形(指数表示)で表すと、

\(27=3^x\)

ここで、\(27=3^3\)であるから上式は

\(3^3=3^x\)

となる。


指数を比較すると\(x=3\)となるので、最初の式から

\(\log_3{27}=3\)

となる。

 

 

また、\(M=a^p\)のとき、\(\log_a{M}=p\)なので

\(\log_a{a^p}=p\)

となります。
(\(\log_a{M}=p\)の\(M\)に\(M=a^p\)を代入した)

 

 

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2.対数の性質

対数の性質として、以下のようなものがあります。

\(1=a^0\)なので、\(M=a^p\Leftrightarrow\log_a{M}=p\)から

\(\log_a{1}=0\)

 

\(a=a^1\)なので、\(M=a^p\Leftrightarrow\log_a{M}=p\)から

\(\log_a{a}=1\)

 

上記2式が成り立ちます。

 

また、指数法則から成り立つ性質もあり、以下のようになります。


\(M\gt0\) , \(N\gt0\) , \(k\)を実数とすると、


\(\log_a{MN}=\log_a{M}+\log_a{N} \cdots①\)

 

\(\displaystyle{\log_a{\frac{M}{N}}=\log_a{M}-\log_a{N} \cdots②}\)

 

\(\log_a{M^k}=k\log_a{M} \cdots③\)

 


それぞれの計算例を載せておきます。
(計算例は左辺→右辺への式変形の例となります)

例)
\(\underline{\bf{①の例}}\)

\(\begin{eqnarray}\log_{15}{3}+\log_{15}{5}&=&\log_{15}{3×5}\\\\&=&\log_{15}{15}\\\\&=&1\end{eqnarray}\)

 

\(\underline{\bf{②の例}}\)

\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\log_2{12}-\log_2{3}&=&\log_2{\frac{12}{3}}\\\\&=&\log_2{4}\\\\&=&\log_2{2^2}\\\\&=&2\end{eqnarray}}\)

(\(\log_2{(2^2)}\)は指数表示に直すと、\(2^2=2^p\)となり、指数を比較すると\(p=2\)となる)

 

\(\underline{\bf{③の例}}\)

\(\begin{eqnarray}3\log_2{4}&=&\log_2{(4^3)}\\\\&=&\log_2{{(2^2)}^3}\\\\&=&\log_2{(2^6)}\\\\&=&6\end{eqnarray}\)

 

 

次に、なぜ上記の性質が成り立つのかを説明していきます。


\(\underline{\bf{①について}}\)

\(\log_a{M}=p , \log_a{N}=q\)とすると、

\(M=a^p , N=a^q\)

となります。


よって、

\(MN=a^p×a^q=a^{p+q}\)

 

これを対数表示すると

\(\begin{eqnarray}\log_a{MN}&=&{p+q}\\\\&=&\log_a{M}+\log_a{N}\end{eqnarray}\)

 

となります。

 

 

\(\underline{\bf{②について}}\)

\(①\)と同様に、\(\log_a{M}=p , \log_a{N}=q\)とすると、

\(M=a^p , N=a^q\)

よって、

\(\displaystyle{\frac{M}{N}=\frac{a^p}{a^q}=a^{p-q}}\)

 

これを対数表示すると

\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\log_a{\frac{M}{N}}&=&p-q\\\\&=&\log_a{M}-\log_a{N}\end{eqnarray}}\)

 

となります。

 

 

\(\underline{\bf{③について}}\)

\(\log_a{M}=p\)とすると、\(M=a^p\)となります。

よって、

\(M^k={(a^p)}^k=a^{kp}\)

従って、

\(\begin{eqnarray}\log_a{M^k}&=&kp\\\\&=&k\log_a{M}\end{eqnarray}\)

 

となります。

 


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3.底の変換公式

底の変換公式とは、\(a\)を底とする対数\(\log_a{b}\)を\(c\)を底とする対数に変換する公式です。
底の変換公式は以下のようになります。

 

\(a , b , c\)は正の数で\(a\neq1 , c\neq1\)とするとき、

\(\displaystyle{\log_a{b}}=\frac{\log_c{b}}{\log_c{a}}\)

 


底の変換公式を用いた計算例を載せておきます。

 

例)底が\(4\)の対数を底が\(2\)のものに変換するとき

\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\log_4{16}&=&\frac{\log_2{16}}{\log_2{4}}\\\\&=&\frac{\log_2{2^4}}{\log_2{2^2}}\\\\&=&\frac{4}{2}\\\\&=&2\end{eqnarray}}\)

 


底の変換公式は、以下のように導きます。

 

\(a , b , c\)は正の数で\(a\neq1 , c\neq1\)とする。

\(\log_a{b}=p\)とすると\(b=a^p\)なので、両辺\(c\)を底とする対数をとると、

\(\log_c{b}=\log_c{a^p}=p\log_c{a}\)

よって、

\(\log_c{b}=p\log_c{a}\)

 

\(a\neq1\)から、\(\log_c{a}\neq0\)なので、上式の両辺を\(\log_c{a}\)で割って、

\(\displaystyle{p=\frac{\log_c{b}}{\log_c{a}}}\)

 

ここで、\(p=\log_a{b}\)なので、

\(\displaystyle{\log_a{b}=\frac{\log_c{b}}{\log_c{a}}}\)

 

となります。

 

 

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4.対数関数

\(a\)を\(1\)とは異なる正の定数とするとき、\(y=\log_a{x}\)は\(x\)の関数となります。
この関数を\(\textcolor{red}{a}\)\(\textcolor{red}{\bf{を底とする}}\)\(\textcolor{red}{x}\)\(\textcolor{red}{\bf{の対数関数}}\)といいます。
一般に、対数関数\(y=\log_a{x}\)のグラフは、\(y=a^x\)のグラフと直線\(y=x\)に関して対称であり、次のようになります。

 

対数関数に関して、どちらの場合も\(y\)軸が漸近線(グラフが近づく線)となります。
また、\(y=0\)のとき、\(0=\log_a{x}\)となる\(x\)は、\(x=a^0=1\)から\(1\)となります。


\(y=1\)のとき、\(1=\log_a{x}\)となる\(x\)は、\(x=a^1=a\)から\(a\)となります。


従って、これらのグラフはどちらも点\((1 , 0) 、(a , 1)\)を通ります。
そして、曲線は\(a\gt1\)のとき右上がり、\(0\lt{a}\lt1\)のとき右下がりとなります。

 

 

対数関数\(y=\log_a{x}\)の特徴は以下のようになります。


○定義域は正の数全体で、値域は実数全体である。

 

○\(a\gt1\)のとき、増加関数である。すなわち、

\(0{\lt}p{\lt}r\Leftrightarrow\log_a{p}\lt\log_a{q}\)

 

○\(0\lt{a}\lt1\)のとき、減少関数である。すなわち

\(0{\lt}p{\lt}r\Leftrightarrow\log_a{p}\gt\log_a{q}\)

 

となります。

 

今回は以上になります。

 

 

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