高校物理 理解の手助け

高校物理についての内容です。なるべく丁寧に、理解できるように書いていこうと思います。

3-1.ベクトルの演算と成分表示

物理ではベクトルを扱います。
力や速度などは全てベクトルとなります。
しかし、ベクトルそのものを扱うことは難しいので、成分に分けて考えることが多いです。
ここでは、高校物理で使用するベクトルについての考え方などを解説していきます。

 

 


サイトを設立しました。

こちらでも解説しているのでよろしくお願いします。


高校物理/炉けーのブログ

 

3-1.ベクトルの演算と成分表示 

3-2.ベクトルの内積と外積

練習問題(内積/外積など)

 

Twitterアカウント→@roke_blog

 

 

目次

 

 

1.ベクトルとは

\(\textcolor{red}{\bf{ベクトル}}\)とは、\(\textcolor{green}{\sf{向き}}\)と\(\textcolor{blue}{\sf{大きさ}}\)を持つ量で、有効線分(矢印付きの線分)で表されます。
(物理においては、物体に働く力や速度などがベクトルとなる)


この\(\textcolor{green}{\sf{向き}}\)と\(\textcolor{blue}{\sf{大きさ}}\)を持つ量であるベクトルに対して、\(\textcolor{blue}{\sf{大きさ}}\)だけを持つ量を\(\textcolor{red}{\bf{スカラ ー}}\)といいます。
(物理においては、質量や温度がスカラーとなる←向きをもたない)



ベクトルの表記は\(\overrightarrow{AB}\)や\(\vec{a}\)というように表します。
そのベクトルの大きさを表す場合には、絶対値記号を用いて、\(|\overrightarrow{AB}|\)や\(|\vec{a}|\)と表します。


また、2つの有効線分\(AB\)と\(CD\)を考えた時に、有効線分\(AB\)を平行移動して有効線分\(CD\)に重ね合わせることができるとき、すなわち

\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}と\overrightarrow{CD}の向きと大きさが等しい}\)

とき、この2つのベクトルは

\(\textcolor{red}{\bf{等しい}}\)

といいます。


そして、\(\textcolor{red}{\sf{大きさが等しく}}\)、\(\textcolor{blue}{\sf{向きが反対}}\)のベクトルを\(\textcolor{red}{\sf{逆ベクトル}}\)といい、\(\overrightarrow{AB}\)の逆ベクトルは\(-\overrightarrow{AB}\)、\(\vec{a}\)の逆ベクトルは\(-\vec{a}\)というように、マイナスを付けて表します。

 

 

ベクトルの表現方法について、以下で例をみていきます。


\(\overrightarrow{AB}\)と\(\overrightarrow{CD}\)は\(\textcolor{green}{\sf{向き}}\)と\(\textcolor{blue}{\sf{大きさ}}\)が等しいとします。
このとき、

\(\overrightarrow{AB}=\overrightarrow{CD}\)

となります。
また、

\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}=\vec{a}}\)

\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{CD}=\vec{b}}\)

とし、


\(\textcolor{red}{\vec{a}}=\textcolor{blue}{\vec{c}}\)


と表すこともあります。

こう表した状態を図にすると、以下のようになります。



上図において、\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)と\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{CD}}\)は大きさが等しいので、

\(\textcolor{red}{\overrightarrow{|AB|}}=\textcolor{blue}{\overrightarrow{|CD|}}\)

となります。


この場合、\(\textcolor{red}{\overrightarrow{|AB|}}\)と\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{|CD|}}\)はそれぞれ有効線分\(AB\)と\(CD\)の長さを表しています。
絶対値をつけると、大きさだけをみているので例えば上図の有効線分\(\textcolor{blue}{CD}\)の向きが\(\textcolor{red}{AB}\)の向きと同じでない場合でも、有効線分の大きさ(長さ)が同じならば、
\(\textcolor{red}{\overrightarrow{|AB|}}=\textcolor{blue}{\overrightarrow{|CD|}}\)
は成り立ちます。


また、現在\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}=\vec{a}}\)、\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{CD}=\vec{b}}\)としているので、

\(\textcolor{red}{\vec{a}}=\textcolor{blue}{\vec{b}}\)

と表現することもできます。

 


次に、逆ベクトルについて考えてみます。



上図には、\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}=\vec{a}}\)として、\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)の下には\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)と"大きさ"が"同じ"で"向き"が"反対"のベクトルが図示してあります。
下のベクトルは、\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)の逆ベクトルとなるので、

\(\textcolor{red}{\vec{a}=\overrightarrow{AB}}\)のとき、\(\textcolor{blue}{-\vec{a}=\overrightarrow{BA}}\)

と表すことができます。


以上から、

\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{BA}}=\textcolor{red}{-\overrightarrow{AB}}\)

といえます。

 

→目次へ戻る

 


2.ベクトルの演算

 2-1.ベクトルの加法

\(\textcolor{red}{\vec{a}=\overrightarrow{AB}}\)、\(\textcolor{blue}{\vec{b}=\overrightarrow{BC}}\)とします。
このとき、ベクトルの加法\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}\)は次のようになります。

\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}\)

\( (\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}+\textcolor{blue}{\overrightarrow{BC}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}})\)

 

図示すると、下図のようになります。



図示されたベクトルの見方としては、始点はベクトルの足し算が\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)から始まっているので、このベクトルの\(A\)が始点となります。
終点は、

 

\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}+\textcolor{blue}{\overrightarrow{BC}}\)

 

から、点\(A\)→点\(B\)→点\(C\)と移動しているので点\(C\)が終点となります。
この始点\(A\)と終点\(C\)を結んだ有効線分\(\textcolor{green}{AC}\)が\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}\)となります。

 

 

次に、ベクトルの加法についてどのようなことが成り立つのかをみていきます。
今回も、

\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}=\vec{a}}\)

\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{BC}=\vec{b}}\)

とします。


有効線分は平行移動させても"向き"と"大きさ(有効線分の長さ)"は変わらないので、\(\textcolor{red}{\vec{a}}\)と\(\textcolor{blue}{\vec{b}}\)を下図のように平行移動させます。
平行移動後の\(\textcolor{red}{\vec{a}}\)と\(\textcolor{blue}{\vec{b}}\)は点線で表しています。



ここで、実線部分については先ほど説明したように

\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}\)

が成り立ちます。

 

では、ベクトルを平行移動させた点線部分についてはどうでしょうか?


図中の点線で表した部分をみてみると、点\(A\)から\(\textcolor{blue}{b}\)方向にベクトルが伸び、\(\textcolor{blue}{b}\)の終点から\(\textcolor{red}{\vec{a}}\)が伸び、最終的に点\(C\)に行き着いています。
これは、点\(A\)を始点にして、\(\textcolor{blue}{b}\)→\(\textcolor{red}{a}\)を経由して最終的に終点が点\(C\)になっていることを表しています。


上記内容を、ベクトルの加法を使って表現すると、

\(\textcolor{blue}{\vec{b}}+\textcolor{red}{\vec{a}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}\)

となります。

 

以上のことから、実線経由でも点線経由でもベクトルの計算結果は\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}\)となることから、次のことがいえます。

\(\textcolor{red}{\vec{a}}+\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{blue}{\vec{b}}+\textcolor{red}{\vec{a}}\)

 

これは、ベクトルの加法について計算順序を入れ替えても結果は同じということを表しています。
これを、\(\sf{\textcolor{red}{交換法則}}\)といいます。
(法則の名前を覚える必要は無いと思いますが…)

 

 

次に、

\(\vec{a}=\overrightarrow{AB}\)

\(\vec{b}=\overrightarrow{BC}\)

\(\vec{c}=\overrightarrow{CD}\)

として、以下のような例をみていきます。



ここで、下のような2通りの計算について考えていきます。

\(\textcolor{red}{(\vec{a}+\vec{b})}+\vec{c} \cdots①\)

\(\vec{a}+\textcolor{blue}{(\vec{b}+\vec{c})} \cdots②\)

 


\(①\)式中の\(\textcolor{red}{(\vec{a}+\vec{b})}\)は図中の赤色のベクトルになります。
よって、\(①\)を計算してみると始点を\(A\)として、終点は点\(A\)→点\(C\)→点\(D\)となるので

\(\textcolor{red}{(\vec{a}+\vec{b})}+\vec{c}=\overrightarrow{AD}\)

となります。


次に、\(②\)について考えていきます。
\(②\)式中の\(\textcolor{blue}{(\vec{b}+\vec{c})}\)は図中の青色のベクトルになります。
よって、\(②\)を計算してみると始点を\(A\)として、終点は点\(A\)→点\(B\)→点\(D\)となるので

\(\vec{a}+\textcolor{blue}{(\vec{b}+\vec{c})}=\overrightarrow{AD}\)

となります。


以上\(①\)と\(②\)の計算結果から次のことがいえます。

\(\textcolor{red}{(\vec{a}+\vec{b})}+\vec{c}=\vec{a}+\textcolor{blue}{(\vec{b}+\vec{c})}\)

この性質を\(\sf{\textcolor{red}{結合 法則}}\)といいます。

 

 

→目次へ戻る

 


 2-2.零ベクトル

零ベクトルとは、\(\overrightarrow{AA}\)のように、始点と終点が一致したベクトルのことになります。
この零ベクトルの大きさは\(0\)であるとし、\(\vec{0}\)と表記します。
また、零ベクトルの向きは考えません。
零ベクトルには次のような性質があります。

 

\(\overrightarrow{AA}=\vec{0}\)

\(\vec{a}+(-\vec{a})=\vec{0}\)

\(\vec{a}+\vec{0}=\vec{a}\)



→目次へ戻る

 


 2-3.ベクトルの減法

\(\textcolor{red}{\vec{a}=\overrightarrow{OA}}\), \(\textcolor{blue}{\vec{b}=\overrightarrow{OB}}\)とします。
ベクトルの加法から、

\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{OB}}+\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}=\textcolor{red}{\overrightarrow{OA}}\)

が成り立ちます。


これを式変形して、

\(\begin{eqnarray}&&\textcolor{blue}{\overrightarrow{OB}}+\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}=\textcolor{red}{\overrightarrow{OA}}\\\Leftrightarrow&&\textcolor{red}{\overrightarrow{OA}}-\textcolor{blue}{\overrightarrow{OB}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}\\(\Leftrightarrow&&\textcolor{red}{\vec{a}}-\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}})\end{eqnarray}\)

となります。


図示すると、下図のようになります。




また、減法について以下が成り立ちます。

\(\textcolor{red}{\vec{a}}-\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})\)

\(\vec{a}-\vec{a}=\vec{0}\)

 

 

\(\textcolor{red}{\vec{a}}-\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})\)について、ベクトルを図示してみると以下のようになります。



\(\textcolor{red}{\vec{a}}-\textcolor{blue}{\vec{b}}\)については、図の実線部分となります。

これは、先ほど説明したように、\(\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}\)となります。

 

 

次に、\(\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})\)を考えていきます。
これは始点\(O\)を出発し、実線の\(\textcolor{red}{\vec{a}}\)に沿って進んだ後、点線の\(\textcolor{blue}{-\vec{b}}\)に沿って進みます。
従って、\(\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})\)のベクトルは、緑色の点線のベクトルル\(\textcolor{green}{\overrightarrow{OD}}\)となります。
ここで、図中の平行四辺形\(OBAD\)に注目してみると、これは平行四辺形なので有効線分\(BA\)と\(OD\)は向きと大きさが等しくなります。
よって、

\(\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{OD}}\)

となり、

\(\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})=\textcolor{green}{\overrightarrow{OD}}=\textcolor{green}{\overrightarrow{BA}}\)

となります。

 


以上から、

\(\textcolor{red}{\vec{a}}-\textcolor{blue}{\vec{b}}=\textcolor{red}{\vec{a}}+(-\textcolor{blue}{\vec{b}})\)

が成り立ちます。

 

 

\(\vec{a}-\vec{a}=\vec{0}\)については、\(\vec{a}\)だけ進み、そこからおなじだけ戻ると始点と終点が一致するので零ベクトルとなります。

 

 

→目次へ戻る

 


 2-4.ベクトルの実数倍

ベクトルの実数倍については、以下のようになります。

 

 

実数を\(k\)とする。また、\(\vec{a}\)が零ベクトルでない\( (\vec{a}\neq\vec{0})\)のとき

i) \(k\gt0\)のとき  \(k\vec{a}\)は\(\vec{a}\)と向きが同じで大きさが\(k\)倍のベクトルとする

ii) \(k=0\)のとき  \(k\vec{a}=0・\vec{a}=\vec{0}\)

iii) \(k\lt0\)のとき  \(k\vec{a}\)は\(\vec{a}\)と向きが反対で大きさが\(|k|\)倍のベクトルとする

(\(\vec{a}=\vec{0}\)のときは、どのような\(k\)に対しても \(k\vec{0}=\vec{0}\))

以下に例を載せておきます。



ベクトルの実数倍の性質は以下のようになります。

\(k, l\)を実数とすると

\(k(l\vec{a})=(kl)\vec{a}\)

\((k+l)\vec{a}=k\vec{a}+l\vec{a}\)

\(k(\vec{a}+\vec{b})=k\vec{a}+k\vec{b}\)

 

 

→目次へ戻る

 


  2-5.ベクトルの平行条件

ベクトルの平行条件は以下のようになります。

\(\vec{a}\neq\vec{0}\)、\(\vec{b}\neq\vec{0}\)のとき

\(\vec{a}/\!/\vec{b}\Leftrightarrow\vec{b}=k\vec{a}\)となる実数\(k\)がある


上記内容は、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が平行の時、\(\vec{b}\)は\(\vec{a}\)と\(\textcolor{red}{\sf{"向きが同じか反対"}}\)ですよ。ただし\(\textcolor{red}{\sf{大きさは問いません}}\)。という意味になります。


しかし、\(\vec{0}\)であるとき、始点と終点が一致しており零ベクトルなので向きを考えることができません。
なので、\(\vec{a}\neq\vec{0}\),\(\vec{b}\neq\vec{0}\)である必要があります。

以下にイメージしやすいように図を載せておきます。

 



→目次へ戻る

 


  2-6.ベクトルの分解

今までの内容で気づいている方もおられるかもしれませんが、ベクトルは分解できます。

この図において、

\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}=\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}+\textcolor{blue}{\overrightarrow{BC}}\)

と表せますが、逆にいうと\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AC}}\)は\(\textcolor{red}{\overrightarrow{AB}}\)と\(\textcolor{blue}{\overrightarrow{BC}}\)に分解することができるということです。
画像の下の方にも書きましたが、ベクトルは\(\overrightarrow{○□}=\overrightarrow{○\textcolor{red}{△}}+\overrightarrow{\textcolor{red}{△}□}\)のような形で分解することができます。


また、一般に

平面においては、\(\vec{0}\)でない2つのベクトル\(\vec{a},\vec{b}\)が平行でないとき、どんなベクトル\(\vec{p}\)も、\(\vec{a},\vec{b}\)と適当な実数\(s,t\)を用いて

\(\textcolor{red}{\vec{p}=s\vec{a}+t\vec{b}}\)

の形に表すことができます。

これは、下の平行四辺形から確かめることができます。



→目次へ戻る

 


3.ベクトルの成分表示

 3-1.ベクトルの成分表示

ベクトルを座標平面上で考えてみます。



\(\vec{a}=\overrightarrow{OA}\)とします。


\(A\)の\(x\)座標を\(a_{1}\)、\(y\)座標を\(a_{2}\)とすると、\(\vec{a}\)は\(x\)座標の正の向きと同じで大きさが\(1\)の\(\vec{e_{1}}\)と、\(y\)軸の正の向きと同じで大きさが\(1\)の\(\vec{e_{2}}\)を用いて

 

\(\vec{a}=a_{1}\vec{e_{1}}+a_{2}\vec{e_{2}}\)

 

と表せます。




また、この\(\vec{a}\)を

\(\vec{a}=(a_{1},a_{2})\)

とも記述します。


この\(a_{1}\)を\(\vec{a}\)の\(x\)成分、\(a_{2}\)を\(\vec{a}\)の\(y\)成分といいます。

 

 

このように記述する際には、先ほどの\(\vec{e_{1}}\)、\(\vec{e_{2}}\)はそれぞれ

\(\vec{e_{1}}=(1,0)\)

\(\vec{e_{2}}=(0,1)\)

となります。

 

零ベクトルの表記は

\(\vec{0}=(0,0)\)

となります。

 

\(\vec{e_{1}}\)、\(\vec{e_{2}}\)を基本ベクトルといいます。

 


また、図と三平方の定理から

\(|\vec{a}|=\sqrt{{a_{1}}^2+{a_{2}}^2}\)

となります。


2つのベクトルを

\(\vec{a}=(a_{1},a_{2})\)

\(\vec{b}=(b_{1},b_{2})\)

とすると、\(\vec{a}=\vec{b}\)のとき

\(a_{1}=b_{1}\) , \(a_{2}=b_{2}\)

となります。

 

 

→目次へ戻る

 


 3-2.成分表示による演算

\(\vec{a}=(a_{1},a_{2})\)、\(\vec{b}=(b_{1},b_{2})\)とします。
基本ベクトルを用いてそれぞれ

\(\vec{a}=a_{1}\vec{e_{1}}+a_{2}\vec{e_{2}}\)

\(\vec{b}=b_{1}\vec{e_{1}}+b_{2}\vec{e_{2}}\)

となります。


このことから、和と差はそれぞれ

\(\begin{eqnarray}\vec{a}+\vec{b}&=&(a_{1}\vec{e_{1}}+a_{2}\vec{e_{2}})+(b_{1}\vec{e_{1}}+b_{2}\vec{e_{2}})\\&=&(a_{1}+b_{1})\vec{e_{1}}+(a_{2}+b_{2})\vec{e_{2}}\end{eqnarray}\)


\(\begin{eqnarray}\vec{a}-\vec{b}&=&(a_{1}\vec{e_{1}}+a_{2}\vec{e_{2}})-(b_{1}\vec{e_{1}}+b_{2}\vec{e_{2}})\\&=&(a_{1}-b_{1})\vec{e_{1}}+(a_{2}-b_{2})\vec{e_{2}}\end{eqnarray}\)

 

よって、

 

和の成分表示は\((a_{1}+b_{1},a_{2}+b_{2})\)

差の成分表示は\((a_{1}-b_{1},a_{2}-b_{2})\)

 


また、\(k\)を実数とすると

 

\(\begin{eqnarray}k\vec{a}&=&k(a_{1}\vec{e_{1}}+a_{2}\vec{e_{2}})\\&=&(ka_{1})\vec{e_{1}}+(ka_{2})\vec{e_{2}}\end{eqnarray}\)

 

となるので、

実数倍の成分表示は\((ka_{1},ka_{2})\)

となります。

 

\(\textcolor{red}{\underline{\bf{以上をまとめると、それぞれの成分表示は}}}\)

\((a_{1},a_{2})+(b_{1},b_{2})=(a_{1}+b_{1},a_{2}+b_{2})\cdots和\)

\((a_{1},a_{2})-(b_{1},b_{2})=(a_{1}-b_{1},a_{2}-b_{2})\cdots差\)

\(k(a_{1},a_{2})=(ka_{1},ka_{2})\cdots実数倍\)


また、次のように点\(\textcolor{red}{A(a_{1},a_{2})}\)、点\(\textcolor{blue}{B(b_{1},b_{2})}\)を座標平面上にとります。



ここで、

\(\textcolor{red}{\vec{a}=\overrightarrow{OA}=(a_{1},a_{2})}\)

\(\textcolor{blue}{\vec{b}=\overrightarrow{OB}=(b_{1},b_{2})}\)

とします。

 

図から

\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AB}}=\textcolor{blue}{\overrightarrow{OB}}-\textcolor{red}{\overrightarrow{OA}}\)

なので、\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AB}}\)を成分表示すると

\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AB}}=(\textcolor{blue}{b_{1}}-\textcolor{red}{a_{1}},\textcolor{blue}{b_{2}}-\textcolor{red}{a_{2}})\)

 

ここで、図の直角三角形\(ABC\)に注目すると、それぞれの辺の長さは以下のようになります。



この直角三角形\(ABC\)において、三平方の定理から

\(\textcolor{green}{|\overrightarrow{AB}|}=\sqrt{(\textcolor{blue}{b_{1}}-\textcolor{red}{a_{1}})^2+(\textcolor{blue}{b_{2}}-\textcolor{red}{a_{2}})^2}\)

となります。


\(\textcolor{red}{\underline{\sf{以上をまとめると}}}\)

2点\(\textcolor{red}{A(a_{1},a_{2})}\)、\(\textcolor{blue}{B(b_{1},b_{2})}\)について、

\(\textcolor{green}{\overrightarrow{AB}}=(\textcolor{blue}{b_{1}}-\textcolor{red}{a_{1}},\textcolor{blue}{b_{2}}-\textcolor{red}{a_{2}})\)

\(\textcolor{green}{|\overrightarrow{AB}|}=\sqrt{(\textcolor{blue}{b_{1}}-\textcolor{red}{a_{1}})^2+(\textcolor{blue}{b_{2}}-\textcolor{red}{a_{2}})^2}\)


今回は以上となります。

 

 

→目次へ戻る

 

 

 

はてなブログ内関連記事

3-2.ベクトルの内積と外積

練習問題(内積/外積など)