高校物理 理解の手助け

高校物理についての内容です。なるべく丁寧に、理解できるように書いていこうと思います。

3-1.速度の合成と相対速度(補足解説と練習問題)

速度の合成と相対速度の記事で解説した内容の練習問題となります。

実際に問題を解く際には、解説した内容をどのように用いるのかに注目して読み進めてください。

また、速度の合成と相対速度の記事で解説していなかった補足内容があれば、この記事に載せています。

 

 

 

サイトを設立しました。

こちらでも解説しているのでよろしくお願いします。


高校物理/炉けーのブログ

 

速度の合成と相対速度

速度の合成と相対速度(補足解説と練習問題)

 

Twitterアカウント→@roke_blog

 

 

目次

 

 

1.速度の合成

1-1.問題1

\(\underline{\bf{問題1}}\)


地面に対する速さが30m/分の動く床(ムービングウォーク)が右向きに動いている。

この上を、歩く速さが地面に対して70m/分の人が左向きに歩くとき、この人の地面に対する速度は何m/分か。

\(\underline{\bf{解答1}}\)


右向きを正とします。

動く床の地面に対する(から見た)速度を\(\textcolor{red}{v_{床}}\)、歩く人の地面に対する(から見た)速度を\(\textcolor{blue}{v_{人}}\)とするとこれらはそれぞれ


\(\textcolor{red}{v_{床}=+30m/分}\)

\(\textcolor{blue}{v_{人}=-70m/分}\)


となります。

求める地面に対する(から見た)動く床の上を歩く人の速度を\(\textcolor{green}{v}\)として速度ベクトルを図示すると、下図のようになります。

速度の合成ベクトル1

これより求めるベクトルは


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\textcolor{green}{v}&=&\textcolor{blue}{v_{人}}+\textcolor{red}{v_{床}}\\\\&=&\textcolor{blue}{-70m/分}+\textcolor{red}{(+30m/分)}\\\\&=&\textcolor{green}{-40m/分}\end{eqnarray}}\)


右向きを正としており、求めた速度の符合は負なので


\(\underline{{\bf{左向きに}}40m/分}\)

目次へ戻る

1-2.問題2

\(\underline{\bf{問題2}}\)


無風の状態ではまっすぐに17m/分の速さで飛ぶラジコン飛行機を風が吹いている中で飛ばすことを考える。

南向きに風が15m/分の速さで吹いている中を、真東の向きに飛ばし、東に160mのゴール地点に到着させるとき、どの向きにラジコン飛行機を飛ばせばよいか。

また、ラジコン飛行機を飛ばしてからゴール地点に到着するまでに要する時間は何分か。

\(\underline{\bf{解答2}}\)


風が吹いていないときにラジコン飛行機を真東の向きに飛ばすと、ラジコン飛行機はまっすぐにゴール地点に着きます。

無風状態

風が南に吹いていると、ラジコン飛行機を真東に飛ばしたとしても、風に流されてしまいます。

有風状態

なので、ラジコン飛行機を真東に飛ばすためには、角度をつけて飛ばす必要があります。

ラジコン角度

ラジコン飛行機と風の速度ベクトルを考えると、下図のようになります。

風とラジコンの速度ベクトル

上図の直角三角形において、三平方の定理を用いると合成速度\(\textcolor{blue}{v}\)は


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\textcolor{red}{(17m/分)^2}=\textcolor{green}{(15m/分)^2}+\textcolor{blue}{v^2}\\\\{\Leftrightarrow}&&\textcolor{blue}{v^2}=\textcolor{blue}{(8.0m/分)^2}\end{eqnarray}}\)


これより、


\(\textcolor{blue}{v=8.0m/分}\)


真東に向かって、160mの距離を8m/分で進むので、ゴール地点に到着するまでの時間は


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}{\bf{時間}}&=&160m÷8.0m/分\\\\&=&160m×\frac{分}{8.0m}\\\\&=&20分\end{eqnarray}}\)


よって、


\(\underline{20分}\)




角度は、速度ベクトルの直角三角形から\(\tan{\theta}\)を考えると


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\tan{\theta}&=&\frac{15}{8.0}\\\\&=&1.875\end{eqnarray}}\)


より、真東から北向きに\(\tan{\theta}=1.875\)を満たす\(\theta\)の向きにラジコンを飛ばせばよい。


三角関数表や関数電卓を用いると、


\(\theta≒62°\)


ぐらいとなります。

目次へ戻る

2.相対速度

2-1.問題1

\(\underline{\bf{問題1}}\)


東向きに13m/sで走行する自動車に対する、東向きに8.0m/sで走行する自転車および、西向きに4.0m/sで走行する自転車の相対速度を求めよ。

\(\underline{\bf{解答1}}\)


右向きを正とします。


問題文中の速度
→\(\textcolor{red}{\bf{地面からみた速度}}\)
(→\(\textcolor{red}{\bf{静止した人からみた速度}}\))


~に対する
→\(\textcolor{red}{\bf{~からみた}}\)


と読みかえます。


そうすると、それぞれの速度は


・東向きに13m/sで走行する自動車
→地面から見て+13m/s


・東向きに8.0m/sで走行する自転車
→地面から見て+8.0m/s


・西向きに4.0m/sで走行する自転車
→地面から見て-4.0m/s


となります。


また、


自動車に対する自転車の速度
→自動車からみた自転車の速度


を求めればよいことがわかります。




問題を解いていきます。

自動車に対する東向きに8.0m/sで走行する自転車の相対速度について、



i)ベクトル図で考えると

自動車と自転車ベクトル図1

※ベクトルの長さは13m/sから8.0m/sを引いて


\(13m/s-8.0m/s=5.0m/s\)


となります。




いま東向きを正としており、求めるベクトルは負の方向を向いているので求める相対速度は


\(\underline{{\bf{西向きに}}5.0m/s}\)


です。

ii)v-tグラフで考えると

自動車と自転車v-tグラフ1

自動車の速度と自転車の速度の幅は5.0m/sで、矢印は下向きなので


-5.0m/s


となり、


\(\underline{{\bf{西向きに}}5.0m/s}\)


になります。


相対速度=相手の速度-自分の速度


を用いると


相手:自転車(+8.0m/s)

自分:自動車(+13m/s)


から


\(+8.0m/s-(+13m/s)=-5.0m/s\)


となる。

自動車に対する西向きに4.0m/sで走行する自転車の相対速度について、


こちらも同様にして考えて



i)ベクトル図で考えると

自動車と自転車ベクトル図2

※ベクトルの長さは13m/sと4.0m/sを足して


\(13m/s+4.0m/s=17m/s\)


となります。




いま東向きを正としおり、求めるベクトルは負の方向を向いているので求める相対速度は


\(\underline{{\bf{西向きに}}17m/s}\)


です。

ii)v-tグラフで考えると

自動車と自転車v-tグラフ2

自動車の速度と自転車の速度の幅は17m/sで、矢印は下向きなので


-5.0m/s


となり、


\(\underline{{\bf{西向きに}}17m/s}\)


になります。


相対速度=相手の速度-自分の速度


を用いると


相手:自転車(-4.0m/s)

自分:自動車(+18m/s)


から


\(-4.0m/s-(+13m/s)=-17m/s\)


となる。

目次へ戻る

2-2.問題2

\(\underline{\bf{問題2}}\)


東向きに13m/sで走行する自動車に対する、南向きに13m/sで走行する自転車の相対速度を求めよ。

\(\underline{\bf{解答2}}\)


「~に対する」を「~からみた」と翻訳する点については、前問と同様です。

しかし今回は自動車と自転車が同一直線上を運動していないので、ベクトル図を用いて考えます。

自動車と自転車の速度ベクトルを図示すると、下図のようになります。

自動車と自転車ベクトル図3

求める相対速度の大きさは、三平方の定理から


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\textcolor{green}{v^2}&=&\textcolor{red}{{13m/s}^2}+\textcolor{blue}{{13m/s}^2}\\\\&=&\textcolor{green}{{13\sqrt{2}m/s}^2}\end{eqnarray}}\)


これより、


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}|v|&=&13\sqrt{2}\\\\&≒&18.4m/s\\\\&≒&18m/s\end{eqnarray}}\)


向きは、下図のように\(\theta\)を考えます。

自動車と自転車の相対速度向き

上図から


\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\tan{\theta}&=&\frac{13}{13}\\\\&=&1\end{eqnarray}}\)


これは有名角で\(\theta=45°\)となります。


三角関数の有名角についてはこちら
三角関数の定義と関係式


よって、図から向きは南西の方向となります。


以上から求める相対速度は


\(\underline{{\bf{南西の向きに}}18m/s}\)


となります。

目次へ戻る

 

 

はてなブログ内関連記事

1.速度の合成と相対速度