高校物理 理解の手助け

高校物理についての内容です。なるべく丁寧に、理解できるように書いていこうと思います。

高校物理を理解するために 単位について1 単位の計算

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こちらでも解説しているのでよろしくお願いします。

単位の計算や換算

単位の計算や換算(練習問題)

次元解析(練習問題)

 

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いろいろな単位

単位には

円 (えん)
m (メートル)
kg(キログラム)
m/s(メートル毎秒)

など、様々なものがあります。

単位の計算


計算をする上で例えば

2×3=6

と数値同士の掛け算・割り算は日常的に行っていると思いますが、実は単位についても同様に計算できます。


例として、道のり・時間・速さの関係をみてみましょう。

今はどのような教わり方をしているかわかりませんが、私自身は小学生の頃、道のり・時間・速さの関係について下図のように教わりました。

f:id:j-shindo:20190223161916j:plain 


円内の『み』は道のりを、『じ』は時間を、『は』は速さをそれぞれ表しています。
のりを求めたい場合は、円内下の[時間]と[速さ]を掛けます。時間を求めたい場合は円内の[道のり]を[速さ]で割り、速さを求めたい場合は[道のり]を[時間]で割ります 。
これを図で表すと下のようになります。

f:id:j-shindo:20190223161958j:plain

×と÷の記号を追加しました。

 

仮に、下のような問題があったとしましょう。

[問題]
150mを15秒で走った場合、平均の速さは何m/sか?


上記問題で求めなければならないのは速さ[m/s]です。
数値の計算としては、[道のり]÷[時間]なので、

150÷15=10

ですが、単位もみてみましょう。

 

150mを15s(秒)で走ったので、単位も含めた計算式は

150m÷15s となります。

数値だけみると、150÷15ですが、このとき単位も同様にm(メートル)÷s(秒)されています。

上記計算式を、分数で表すと、


 \displaystyle \require{color} \frac{150m}{15s}= \displaystyle \frac{150}{15} \displaystyle \frac{ \textcolor{red}{m}}{ \textcolor{red}{s}}= \displaystyle \frac {150}{15} \textcolor{red}{m/s}=10 \textcolor{red}{m/s}


となります。
この式から、150÷15だけでなくm(メートル)やs(秒)といった単位自体も割り算されて、m/s(メートル毎秒)という速さの単位になったことがわかります。


次の問題にいってみましょう。

[問題]
速さ10m/s(メートル毎秒)の物体が5s(秒)間に進んだ距離は何mか?


上記問題も同様に計算してみましょう。距離(道のり)を求める式は[速さ]×[時間]でした。

 \displaystyle \require{color} \require{cancel} {10m/s}×{5s}= \displaystyle 10×5  \displaystyle \frac{ \textcolor{red}{m・s}}{ \textcolor{red}{s}}= \displaystyle 10×5  \displaystyle \frac{ \textcolor{red}{m・ \cancel{s}}}{ \textcolor{red}{ \cancel{s}}}= \displaystyle 10×5\textcolor{red}{m}=50\textcolor{red}{m}

s(秒)同士が約分されて、距離の単位m(メートル)となりました。


ここで注目してほしいのは、単位をみればどういう計算を行えばよいかわかると言う点です。

例えば、[速さ]m/sが問題文で与えられていた場合、[距離]mを求めたければ単位がmになるように[速さ]m/sに[時間]sを掛けてやればよいのです。[時間]sを求めたければ、単 位がsになるように、[距離]mを[速さ]m/sで割ってやれば時間がでます。単位をみれば、どのよう計算をすればよいか迷うことが少なくなると思います。


また、速さm/sは単位時間あたり何m進むかを表しています。要するに、1s(秒)で何m(メートル)進むかです。単位の分母sの前には数字の1が省略されていると考えてください。
問題文中にでてきた、10m/sとは1s(秒)間に10m(メートル)進みますよということです。なので、2秒間でなら20m進みますし、3秒間でなら30m進みます。


私自身、昔はよくわからなかったのですが、スーパーへ行くと、お肉が売っています。値札をみてみると、100g(グラム)あたりの値段が書いてあると思います。
では、問題です。

[問題]
100gあたり98円の豚肉を、150g買うといくら支払わなければならないか?

 

説明していきます。
まず、問題文中に100gあたり98円とあるので、これを式で表すと、

 \displaystyle \frac{98円}{100g}= \displaystyle \frac{98}{100}円/g

となります。これは、g(グラム)の前に1が省略されていると考えて、1gあたり、 \displaystyle \frac{98}{100}円ですよという意味です。
単位は円/gとなりますね。
今求めなければならないのは、150g買った際に何円になるかということです。単位を見てみると円/gですので、gを掛けると円になります。
よって、

 \begin{aligned} \displaystyle \require{color} \require{cancel} \frac{98}{100}円/g×150g=\frac{98×150}{100} \frac{ \textcolor{red}{円・g}}{ \textcolor{red}{g}}=\frac{98×150}{100} \frac{ \textcolor{red}{円・ \cancel{g}}}{ \textcolor{red}{ \cancel{g}}} =\frac{98×150}{100} \textcolor{red}{円} \\ =147 \textcolor{red}{円} \end{aligned}

となります。

もしも、100gあたり98円という条件を、  \displaystyle \frac{100g}{98円}= \displaystyle \frac{100}{98}g/円 で表した場合は、単位を円にするために150円を100/98(g/円)で割ればいいです。

 組立単位

次に、単位は組み合わせで変わるものがあります。

例えば、

 \displaystyle kg・ \frac{m}{s^2}=N(ニュートン)


 \displaystyle \frac{N}{m^2}=Pa(パスカル)

 

といったものがあります。
これらは、問題を解いていくなかで覚えていけばいいと思います。


注.Pa(パスカル)の単位について
Pa(パスカル)はN(ニュートン)を面積( m^2)で割ったものです。この単位の中身を次の式で表してみます。

 \require{cancel} \require{color} \displaystyle Pa= \frac{ \color{red}{N}}{m^2}= \color{red}{kg・ \frac{m}{s^2}}・ \color{black}{ \frac{1}{m^2}}= \color{red}{kg ・ \frac{ \cancel{m}}{s^2}}・  \color{black}{ \frac{1}{m^ \cancel{2}}}= \frac{kg}{m・s^2}

式中の赤文字はN(ニュートン)をあらわしています。N(ニュートン)も単位の組み合わせでできたものだったので、それをばらしてまとめました。

計算時の注意事項

また、足し算引き算を行う際には、単位を揃えましょう。

例えば、りんご1個と距離1mを合わせるといくつになるでしょう?と問われても、計算できません。

m(メートル)ならばm(メートル)同士、kg(キログラム)ならばkg(キログラム)同士で計算しましょう。

kg(キログラム)とg(グラム)ならば、どちらかに単位を合わせて計算します。


次回は、kg(キログラム)のk(キロ)や、mm(ミリメートル)のm(ミリ)といったSI接頭辞についての記事を書こうと思います。