高校物理 理解の手助け

高校物理についての内容です。なるべく丁寧に、理解できるように書いていこうと思います。

物理と三角関数について3 三角関数の公式

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こちらでも解説しているのでよろしくお願いします。

三角関数の定義と関係式

三角関数のグラフ

三角関数の公式 

三角関数の定義と関係式(練習問題)

三角関数の公式など(練習問題)

 

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三角関数について3

 

今回は、三角関数の公式について書いていこうと思います。
物理では、毎回使うということは少ないですが、特定の場面で使うこともあります。
また、数学の問題を解くために覚えておかなければならないものもあります。
全ての公式を説明するわけではありませんが、物理で使うであろうものを紹介していきます。

 

・基本の公式

sin^{2}θ+cos^{2}θ=1

 

これは、単位円で考えればわかりやすいです。
単位円周上の点Pのx座標、y座標はそれぞれ


x=cosθ
y=sinθ

 

で表せます。
また、半径1の円の方程式は

 

x^{2}+y^{2}=1

 

です。
円の方程式にx=cosθ、y=sinθをそれぞれ代入すると、

 

x^{2}+y^{2}=1⇔sin^{2}θ+cos^{2}θ=1

 

となります。

 


tan^{2}θ+1= \displaystyle \frac{1}{cos^{2}θ}

 

この式は、左辺に①の公式を代入していくと導けます。

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③sin(θ+90°)=cosθ
 cos(θ+90°)=-sinθ

 sin(90°-θ)=cosθ
 cos(90°-θ)=sinθ

 sin(θ+180°)=-sinθ
 cos(θ+180°)=-cosθ

 

これらの公式は、単位円で考えればわかりやすいです。

 

 sin(θ+90°)=cosθ
 cos(θ+90°)=-sinθ  について

 

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画像中のx軸から角度θの円周上の点Pの座標は、P(cosθ、sinθ)となります。
また、x軸から角度θ+90°の円周上の点をP'とし、x軸上のx=1及びx=-1である点をそれぞれB、Cとします。
原点を点Oとし、点P'からx軸上に垂直に下ろした直線とx軸との交点をAとすると、点Bから点Cまでの角度は180°なので、

 

(θ+90°)+α=180°

 

となります。計算すると

 

α=90°-θ

 

です。

また、三角形の内角の和は180°なので、三角形AOP'の内角を考えると

 

α+β+90=180°

 

となります。

いま、αの値は90°-θなので、計算すると

 

β=θとなります。

 

現在単位円であるので、斜辺の長さは1です。
このことから、

 

OA=1×sinθ (θと向かい合う辺の長さ)
P'A=1×cosθ (θにへばりついている辺の長さ)

 

となります。

単位円の図から、P'のx座標の値がマイナスであることに気をつけると、P'の座標は

P'(-sinθ、cosθ)となります。

Pの座標を+90°させたものが点P'となるので、PとP'のx、y座標をそれぞれ比較すると

 

cos(θ+90°)=-sinθ
sin(θ+90°)=cosθ

 

となります。

その他の公式も同じ考え方で理解できるので、参考として画像を貼っておきます。

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・加法定理


sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ

 

sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ

 

cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ

 

cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ

 

 

加法定理の公式は上記のものを覚えておけば良いと思います。
証明は数学の科目の方でされると思いますが、気になったなら調べてみてもいいかもしれません。
タンジェントの加法定理は上記サインとコサインの加法定理から導けるので覚える必要はありません。

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また、オイラーの公式を用いた加法定理の導出方法を紹介しておきます。

 

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e^{iθ}=cosθ+isinθ をオイラーの公式といいます。
また、画像中のiを虚数といい、2乗すると-1となります。
オイラーの公式中のθを θ=α+β とおいて、指数法則などを用いて計算していった結果を、実部(iがついていない部分)と虚部(iがついている部分)で比較すると導出できます。
高校数学の範囲では習わないと思うので、テストの証明などでは使えないですが、オイラーの公式を知っていれば、加法定理の公式を忘れてしまっても導出することができます。
この他にも、三倍角の公式や倍角の公式も導出できるので、興味があれば調べてみてください。

 

 

・倍角の公式


sin2θ=2sinθcosθ

 

cos2θ=cos^{2}θ-sin^{2}θ
=2cos^{2}θ-1
=1-2sin^{2}θ

 

tan2θ= \displaystyle \frac{2tanθ}{1-tan^{2}θ}

 

これらの式は、加法定理の公式において、α=β=θ とおくと導出できます。
また、コサインの倍角の公式は、いろいろな形で使います。
一応、下に解説の画像を貼っておきます。
tan2θについても、同様に導けます。

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・半角の公式


sin^{2}\frac{θ}{2}=\frac{1-cosθ}{2}

cos^{2}\frac{θ}{2}=\frac{1+cosθ}{2}

tan^{2}\frac{θ}{2}=\frac{1-cosθ}{1+cosθ}


半角の公式は、コサインの倍角の公式を変形して、θを \displaystyle \frac{1}{2}θとおくことで導けます。
タンジェントの半角の公式は、tanθ=\frac{sinθ}{cosθ}の考え方から導けます。

 

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・積和の公式


sinαcosβ=\frac{1}{2}{sin(α+β)+sin(α-β)}

 

cosαsinβ=\frac{1}{2}{sin(α+β)-sin(α-β)}

 

cosαcosβ=\frac{1}{2}{cos(α+β)+cos(α-β)}

 

sinαsinβ=-\frac{1}{2}{cos(α+β)-cos(α-β)}

 

この公式は、サインコサインの掛け算されたものを足し算引き算の式に変換する公式です。
導出は、加法定理から導けます。
例として、sinαcosβ=\frac{1}{2}{sin(α+β)+sin(α-β)}の式を導出してみますが、他
の式も同じ方法で導けます。

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同じように、サイン同士の加法定理の公式を引いたり、コサイン同士の加法定理の公式を足し引きすることで、他の積和の公式も導けます。
また、積和の公式は、サインコサインの掛け算を足し算引き算に変換するものでしたが、足し算引き算を掛け算の式に変換する公式もあります。

 

 

sinA+sinB=2sin\frac{A+B}{2}cos\frac{A-B}{2}

 

sinA-sinB=2cos\frac{A+B}{2}sin\frac{A-B}{2}

 

cosA+cosB=2cos\frac{A+B}{2}cos\frac{A-B}{2}

 

cosA-cosB=-2sin\frac{A+B}{2}sin\frac{A-B}{2}

 

 

これらの公式は、積和の公式から導けます。
例として、sinA+sinB=2sin\frac{A+B}{2}cos\frac{A-B}{2}を導出しておきます。

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他の式も同様にして、積和の公式から導けます。

 

 


今回は以上となります。
これまでの内容から、覚えておかなければならないものは加法定理の公式ぐらいで、他は自力で導
けることが分かったと思います。
全ての三角関数の公式を挙げたわけではないですが、物理で使いそうなものを紹介しました。
次回は、ベクトルについて書いていこうと思います。
よろしくお願いします。