物理と三角関数について1 三角関数の定義
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三角関数について
今回は、物理で用いる三角関数を簡単に紹介します。
物理においては、力の分解を行う際によく使います。
また、波や電磁気の分野においても使われます。
○三角関数における角度の表し方
三角関数において、角度はθで表されることが多いですが、これは30°や90°といった度数法ではなくπを 使った弧度法であることが多いです。
弧度法を用いた際の単位はrad(ラジアン)です。
弧度法とは、わかりやすく言うと、180°をπとしたもので、180°=πとなります。
なので、両辺180で割ると、
180°=π[rad]⇔180°×=π×[rad]⇔1°=[rad]
となります。
上の式から、30°であれば、両辺に30を掛けて、
1°=[rad]⇔1°×30=×30[rad]⇔30°= [rad]
となり、
60°であれば、同様に両辺に60を掛けて、
60°=[rad]となります。
○三角関数の定義
sinθやcosθなどがでてきますが、これらは下の画像のように定義します。
直角三角形と角度θの関係が、画像のようなとき、
sinθ= =
cosθ= =
tanθ= =
となります。
また、
tanθ==×==
から、
tanθ=
という関係があります。
ここで、上のsinθ及び、cosθの式の両辺に斜辺の値cを掛けることで下の式のようになります。
この式から分かることは、斜辺の値と角度θがわかっていれば、その他の辺の値がわかるということです。
a=(θと向かい合う辺)=(斜辺)×sinθ=c×sinθ
b=(θにへばりついている辺)=(斜辺)×cosθ=c×cosθ
ということで、θと向かいあう辺の長さを求めたければ斜辺にsinθを、θにへばりついている辺の長さを求 めたければ斜辺にcosθを掛ければよいことになります。
○単位円での考え方
半径が1の円周上にある点のx座標とy座標が、それぞれx=cosθ、y=sinθとみることができます。
こちらの考え方でも理解を深めておきましょう。
下の画像で説明します。
画像のように、半径1の円周上に点Pをとります。
このとき、点Pからx軸上に垂直な線を引くと、直角三角形ができます。
半径は1なので、斜辺の長さは1であることに注意して、
(θと向かい合う辺)=(斜辺)×sinθ
(θにへばりついている辺)=(斜辺)×cosθ
の式を使うと、
(θと向かい合う辺)=(斜辺)×sinθ=1×sinθ=sinθ
(θにへばりついている辺)=(斜辺)×cosθ=1×cosθ=cosθ
なので、直角三角形の辺の長さは、画像のようになります。
これは、原点からの長さになるので、x、y座標はそれぞれ
x=cosθ(x軸方向の長さ)
y=sinθ(y軸方向の長さ)
となります。
○代表的なsinθ、cosθの値
代表的なθの値とその時のsinθ・cosθの値を下に示します。
これは、覚えておかなければなりません。
0°(0rad)及び、90°(rad)の時の値は、下の単位円で考えればわかりやすいと思います。
0°(0rad)の時には、点Pはx軸上にあり、
x=cosθ(x軸方向の長さ)
y=sinθ(y軸方向の長さ)
から、x軸方向の長さは1、y軸方向の長さは0となります。
同様に、90°の時にはx軸方向の長さは0、y軸方向の長さは1となります。
画像中のsinθ及び、cosθの値は覚えておかなければなりませんが、tanθの値は式
tanθ=
から求めることができるので、覚える必要はあまりないと思います。
ただし、90°(rad)のときには、
tanθ=であり、分母が0となるので定義ができません。
○物理の問題を解く上で
ここで、物理の問題でよくある設定の中で、力を分解してみます。
下の図のように、斜めになった台の上に物体が置かれており、鉛直下向きに重力mgがかかっている状態を考 えます。台の角度はθになっています。
力の図示の仕方などは、またの機会に紹介するので、今は物体の中心付近から下向きにでている矢印の長さ がmgであると思っておいてください。
これを、斜辺に水平な方向と垂直な方向に分けたいです。下の図のx方向とy方向になります。
考え方としては、物体の中心からでている矢印から、水平方向と垂直方向に線を引いて直角三角形をつくり 、その直角三角形と台の角度θとの関係を探します。
まずは、物体の中心からでている矢印から、水平方向と垂直方向に線を引いて直角三角形をつくってみます 。すると下図のようになります。
次にθとの関係を探していきます。
すると、下の図のようになります。
先ほど作った直角三角形の中で、台の斜辺(①)と垂直な辺(②)がなす角(☆)と等しいのはmgの線(④)と平行方向の線(③)がなす角です。
図中のように、台の斜辺(①)と平行方向の線(③)は互いに平行で、垂直な辺(②)とmgの線(④)も互いに平行です。
よって、台の斜辺(①)と垂直な辺(②)がなす角(☆)は、平行方向の線(③)とmgの線(④)がなす角(☆)に等しくなります。
また、直角三角形なので、一つの辺は90°となっており、これらから残りの辺はθであると決まります。
ここまでくれば、あとは斜辺とθの式を使って、θに向かい合っている辺とθにへばりついている辺の長さを求めるだけです。
平行方向はθと向かい合っている辺になるので、
平行方向の長さ=(斜辺)×sinθ=mg×sinθ=mgsinθ
垂直方向は、θにへばりついている辺になるので、
垂直方向の長さ=(斜辺)×cosθ=mg×cosθ=mgcosθ
となります。
これで、長さmgの線を、台の斜面に対して水平な方向と垂直な方向に分解することができました。
このような分解作業は、物理の問題を解く中で良くでてきます。
次回は、三角関数のグラフと公式などについて説明していこうと思います。
三角関数のグラフは、物理における波や電磁気などで用います。
公式については、余談的なものになるので、興味があれば読んでいただきたいです。
よろしくお願いします。